【2024年】365(+1)冊、本を読む【10月まとめ】

【2024年】365(+1)冊、本を読む【10月まとめ】
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少しずつ暑さが和らいできたようにも感じる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

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目次
  1. 10月に読んだ本
    1. 『一問一答』太宰 治
    2. 『永久に不愉快な二重生活』芥川 竜之介
    3. 『新しい形の個人主義』太宰 治
    4. 『コーヒー五千円』片山 広子
    5. 『わが愛好する言葉』太宰 治
    6. 『十八歳の花嫁』織田 作之助
    7. 『『亜』の回想』梶井 基次郎
    8. 『読書子に寄す 岩波文庫発刊に際して』岩波 茂雄
    9. 『昔の大名の心意気』三遊亭 円朝
    10. 『或る忠告』太宰 治
    11. 『「仮面」の人々』芥川 竜之介
    12. 『棄老伝説に就て』南方 熊楠
    13. 『海』太宰 治
    14. 『「信長」作者のことば』坂口 安吾
    15. 『日本の小僧』三遊亭 円朝
    16. 『政治家と家庭』太宰 治
    17. 『好奇心』織田 作之助
    18. 『砂をかむ』坂口 安吾
    19. 『眼鏡』織田 作之助
    20. 『年賀郵便』岡本 綺堂
    21. 『マージナル・オペレーション 01』芝村 裕吏
    22. 『サムライ転移 1』四辻 いそら
    23. 『神童でなかったラムボオの詩』坂口 安吾
    24. 『サムライ転移 2』四辻 いそら
    25. 『単独犯行に非ず』坂口 安吾
    26. 『大切な雰囲気 01 序』谷崎 潤一郎
    27. 『大切な雰囲気 02 序』石井 柏亭
    28. 『マージナル・オペレーション 02』芝村 裕吏
    29. 『日本の水を濁らすな』坂口 安吾
    30. 『辺境の老騎士 V』支援BIS
    31. 『マージナル・オペレーション 03』芝村 裕吏
    32. 『冷かされた桃割娘』上村 松園
    33. 『仔猫の「トラ」』片山 広子
    34. 『マージナル・オペレーション 04』芝村 裕吏
    35. 『男女川と羽左衛門』太宰 治
    36. 『独断一束』岸田 国士
    37. 『兄貴のような心持――菊池寛氏の印象――』芥川 龍之介
    38. 『諦めている子供たち』坂口 安吾
    39. 『マージナル・オペレーション 05』芝村 裕吏
    40. 『民主主義』織田 作之助
    41. 『一歩前進二歩退却』太宰 治
    42. 『狼は眠らない 02』支援BIS
  2. 最後に

10月に読んだ本

さて、本題。

季節は巡りもう10月も半ば。

果たして年内に「まとめきれるだろうか?」と思いつつ日々を歩んでいる次第ですが、それにしてもよく読んだものだと。

この月も短編ばかりではありますが、昨年の自分やるなあと思うばかりです。

では、以下これまでと同様、本の紹介となります。

中々まとまった時間が取れないこともあって、以前より簡略化した部分もありますが、何か読書のきっかけにでもなれば幸いです。

『一問一答』太宰 治

「(前略)ばかに、威張ったような事ばかり言って、すみませんでした。」

太宰 治『一問一答』青空文庫,2005年,位置№27(Kindle版)

質問する側と回答する側による、会話文のみの内容となっているこの短編。

もし、太宰 治さん自身が回答者のような言葉を並べる人であったのなら、実際に会話してみたかったな、と感じた1冊でした。

オススメできる人

  • 短編作品が好きな人
  • 太宰 治さんの読みやすい著作を探している人
  • するすると読み進めることができる1冊を求めている人

オススメできない人

  • 難解な本を欲している人
  • 長編の物語を求めている人
  • 地の文のある作品を読みたい人
タイトル 一問一答
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『永久に不愉快な二重生活』芥川 竜之介

所で私は前にも云つたやうに、今さう云ふ問題を辯じてゐる暇がない。

芥川 龍之介『永久に不愉快な二重生活』青空文庫,2007年,位置№12(Kindle版)

教師と作家の二足の草鞋。

芥川さんが、中々に忙しない日々を送っていたことが伺える作品です。

専業作家となれた後は、どういった気持ちを覚えられたのでしょうか。

オススメできる人

  • すっと読み終えることのできる1冊を求めている人
  • どこか静かな苛立ちを感じる文章を読んでみたい人
  • 二足の草鞋を履いて日々を送っていた芥川さんの気持ちを感じてみたい人

オススメできない人

  • 長編の作品を求めている人
  • 物語形式の本を読みたい人
  • 作家さん自身のリアルな感情が透ける作品は不得手な人
タイトル 永久に不愉快な二重生活
著者 芥川 龍之介
出版社 青空文庫

『新しい形の個人主義』太宰 治

倫理に於いても、新しい形の個人主義に擡頭しているこの現実を直視し、肯定するところにわれらの生き方があるかも知れぬと思案することも必要かと思われる。

太宰 治『新しい形の個人主義』青空文庫,2009年,位置№4(Kindle版)

自らの考えとは異なる意見を肯定すること。

それは多くの人にとって、頭の中で理解してはいても、実際直面すると中々に難しい事柄で。

でも、それをやることで、相互の理解が進み、よりよい道が開けるのならやるべきことで――。

短い文章ではありますが、色々と考えさらせれた短編でした。

オススメできる人

  • 小難しい内容を求めている人
  • すぐに読み終わる短編が好きな人
  • タイトルに惹かれる気持ちを覚える人

オススメできない人

  • 物語を読みたい人
  • 堅苦しい事柄は苦手な人
  • 少なくとも数百ぺージはある本を求めている人
タイトル 新しい形の個人主義
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『コーヒー五千円』片山 広子

「コーヒーが一杯五千円です」と彼が言つた。

片山 広子『コーヒー五千円』青空文庫,2009年,位置№9(Kindle版)

コーヒー1杯の値段。

みなさんはどの程度を思い浮かべるでしょう?

私は一般的なカフェや喫茶店なら、まあ500円前後か、という感覚。

しかし、タイトルのような価格も強烈なインフレが起これば、有り得ない話ではないようで。

価格のインフレに伴って、収入もしっかり比例していくようならいいですが、そう安々と都合よく物事は運んでくれないのが世の常。

難しいものです、中々に。

オススメできる人

  • 長編作品よりも短編作品を好む人
  • さらりと読み終わる文章を求めている人
  • 時代の変化を感じられる1冊を読んでみたい人

オススメできない人

  • 古さを感じる文体は苦手な人
  • 70年以上も前の文章を読みたいとは思わない人
  • 物の高さ安さという事柄を考え出すと頭が痛くなる人
タイトル コーヒー五千円
著者 片山 広子
出版社 青空文庫

『わが愛好する言葉』太宰 治

故に曰く、私には好きな言葉は無い。

太宰 治『わが愛好する言葉』青空文庫,2009年,位置№5(Kindle版)

綴られている言葉の真意を知りたくなる1冊。

当時、この文を読んだ人はどんなことを思ったのでしょう。

オススメできる人

  • 数秒で読み終わる短編に興味がある人
  • 「はて、これは一体どう捉えれば?」と考えることになるような文章が好きな人
  • 様々な解釈が出来そうな物事を自分なりに考えるという行為を好ましいと思える人

オススメできない人

  • 長編を欲している人
  • 読み応えのある本を求めている人
  • 太宰 治さんの好きな言葉を知りたい人
タイトル わが愛好する言葉
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『十八歳の花嫁』織田 作之助

しかし、娘さんは迷わなかった。

織田作之助『十八歳の花嫁』青空文庫,2009年,位置№13(Kindle版)

表題にある彼女の心中、心の内を知りたくなる1冊。

どんな気持ちで花嫁となり、その後はどうなったのか。

少なからず幸せの多い人生を全うされていたのなら、と思うばかりです。

オススメできる人

  • 短編を求めている人
  • 織田 作之助さんの本に触れて見たい人
  • 今の日常が、恵まれている日常であることを再認識したい人

オススメできない人

  • フィクションを求めている人
  • 戦時中の話は辛くなってしまう人
  • 結末の分からないお話は求めていない人
タイトル 十八歳の花嫁
著者 織田 作之助
出版社 青空文庫

『『亜』の回想』梶井 基次郎

流行文學よりも色づいた柿の葉の一片を持つて歸る方が今の僕にはたのしい。

梶井 基次郎『『亜』の回想』青空文庫,2005年,位置№2(Kindle版)

読み終わっての正直な感想としては「?」。

というのも、何を指しているのか分からない固有名詞が度々文章中に登場するから。

けれど、軽く調べてみて納得。

何かの終わりはいつだって寂しいものですね。

オススメできる人

  • 短編を読みたい人
  • 情景がぼんやりと浮かぶ作品が好きな人
  • 何か特有の綺麗さを感じる文章を読んでみたい人

オススメできない人

  • 難しい漢字が出てくると嫌になる人
  • 周辺情報を持ち合わせていないと理解が難しい本は不得手な人
  • 思わず笑ってしまうようなそんな面白さを持った本を求めている人
タイトル 『亜』の回想
著者 梶井 基次郎
出版社 青空文庫

『読書子に寄す 岩波文庫発刊に際して』岩波 茂雄

真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。

岩波 茂雄『読書子に寄す 岩波文庫発刊に際して』青空文庫,2004年,位置№3(Kindle版)

蓄積された重厚な知性、そして強い熱量。

岩波文庫を手に取りたくなる名文です。

オススメできる人

  • 岩波文庫が好きな人
  • 気持ちの籠った文章を感じてみたい人
  • 数分内には読み終われるような文章を求めている人

オススメできない人

  • 硬い文章は不得手な人
  • 物語を読みたい気分の人
  • 改行の無い、文字で埋め尽くされた文章を見ると嫌な気持ちを覚えてしまう人
タイトル 読書子に寄す 岩波文庫発刊に際して
著者 岩波 茂雄
出版社 青空文庫

『昔の大名の心意気』三遊亭 円朝

殿「お月さまはモウ出たか。

三遊亭 円朝『昔の大名の心意気』青空文庫,2009年,位置№5(Kindle版)

ここ数年来の若者言葉で表すとすれば「草」とでも申せばよいでしょうか。

優しいユーモラスが、この短文には感じられました。

オススメできる人

  • 対話文形式の作品が好きな人
  • サクッと読める作品を求めている人
  • 意味を理解したときに、クスッとくる文章が好きな人

オススメできない人

  • 1冊の本を長く楽しみたい人
  • 少し独特な書き方を許容できない人
  • 現代ではあまり使用しない言葉が出てくる作品は苦手な人
タイトル 昔の大名の心意気
著者 三遊亭 円朝
出版社 青空文庫

『或る忠告』太宰 治

「(前略)明日の立派な覚悟より、きょうの、つたない献身が、いま必要であります。お前たちの責任は重いぜ。」

太宰 治『或る忠告』青空文庫,2004年,位置№19(Kindle版)

最後の文で「ああ、そっちか」と笑ってしまいました。

ノンフィクションだとすれば、登場する詩人さんはどなただったのでしょう。

少し気になるところです。

フィクションだとしたら、自らへの戒めともとれるでしょうか。

オススメできる人

  • 構成が愉快な作品が好きな人
  • 自省を促されるような本を求めている人
  • さらりと読み終えられる作品を求めている人

オススメできない人

  • 長編の作品が読みたい気分の人
  • 他人からの忠告ほど嫌なものはないと考える人
  • 天狗の鼻は伸びれば伸びるだけいいものだと思う人
タイトル 或る忠告
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『「仮面」の人々』芥川 竜之介

その連中もやはり清浄なる僕に悪影響を及ぼしたことは確かである。

芥川 龍之介『「仮面」の人々』青空文庫,2007年,位置№6(Kindle版)

時の流れによる近しい他人の変化に一抹の寂しさを覚えているような、そんな雰囲気を感じる短編でした。

いつまでも形を変えずにそこにあるものというのはそうありませんが、ふとそういったものに巡り合うと安堵の気持ちを得るもので。

芥川さんにおいては、そういった心の拠り所はどこにあったのでしょうか。

オススメできる人

  • さらっと読める短編を求めている人
  • 寂しさを感じる文章を読んでみたい人
  • 時の経過による変化を「ああ、そうだよな」と感じてみたい人

オススメできない人

  • なんだか気持ちがダウン気味な人
  • テンションを上げてくれるようなそんな内容を求めている人
  • 過ぎ去った日々を思わず振り返ってしまうような、そんな文章は今求めていない人
タイトル 「仮面」の人々
著者 芥川 龍之介
出版社 青空文庫

『棄老伝説に就て』南方 熊楠

されば地方によつて老人を棄て風も有つたのだらう。

南方 熊楠『棄老伝説に就て』青空文庫,2003年,位置№9(Kindle版)

日々見聞きする様々な情報。

それらは頻繁に私の気持ちを暗くさせます。

人間の欲深さ、醜さ、悪辣さに反吐が出ると言っていいほどに。

しかし、過去を振り返ると、もっと悲惨な状況があったわけで。

この短編が取り上げている姥捨てもその1つ。

過去を知り「この時代よりは恵まれているんだ」と少しばかり己の気持ちを和らげることで前進出来るのなら、と。

短い文章ではありますが、色々なことを考えた1冊でした。

オススメできる人

  • 数分内で読めるような文量を好む人
  • 世界的な研究者である南方 熊楠さんの文章に興味がある人
  • 漢字に強い人 ※一般的でない漢字がたくさん出てきます。

オススメできない人

  • 明るくなれるような内容を求めている人
  • 過去の悲惨な現実に目を向けたくない人
  • 読めない漢字や理解できない意味が出てきた場合に調べることを厭う人
タイトル 棄老伝説に就て
著者 南方 熊楠
出版社 青空文庫

『海』太宰 治

この子にも、いちど海を見せてやりたい。

太宰 治『海』青空文庫,2004年,位置№6(Kindle版)

親の期待ほど、子どもは喜んでくれないもの。

どんなに美しい景色を見に行ったって、どんなに楽しいだろうと思えるプランを用意したって。

そう上手くはいかないのが、儚くも世の常。

でも、それでもそれをやってあげるのがやっぱり良いんでしょう。

何だかんだでそっと本人の心の底には溜まるものですから。

オススメできる人

  • すっと読み通せる文章を求めている人
  • 「分かる」と苦笑してしまう作品に興味がある人
  • 太宰 治さんという人の人間味を感じられる作品を読んでみたい人

オススメできない人

  • ある程度のページ数のある作品を読みたい人
  • 戦争というものを感じさせる内容は不得手な人
  • 古い時代の作品にはどうも面白みを感じられない人
タイトル
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『「信長」作者のことば』坂口 安吾

ともかくタワケモノの少年と老いたる美濃のマムシとの交渉からポツポツ物語をはじめることに致します。

坂口 安吾『「信長」作者のことば』青空文庫,2009年,位置№17(Kindle版)

坂口 安吾さんの『信長』が読みたくなる短編です。

どのように織田 信長という武将が描かれているのか。

いつか手を伸ばす未来が楽しみです。

オススメできる人

  • 短編を求めている人
  • 織田 信長に興味がある人
  • 坂口 安吾さんの視点から見た信長像を感じてみたい人

オススメできない人

  • 長編の物語を求めている人
  • 昔の文章に面白味を感じられない人
  • 武将の話などにはこれといって興味が向かない人
タイトル 「信長」作者のことば
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『日本の小僧』三遊亭 円朝

小「へえ、夫でも是を置いて参りますと、栄どんだの文どんが皆食べて終ひます。

三遊亭 円朝『日本の小僧』青空文庫,2009年,位置№10(Kindle版)

落語として聞いてみたいなと思える小噺でした。

それにしても牡丹餅が蛙に見えるとはどういったことなのか。

何か元となるお話でも存在するのでしょうか。

オススメできる人

  • 落語を好む人
  • 微笑ましいお話が好きな人
  • さらりと読み終えられる作品を求めている人

オススメできない人

  • 長編作品を欲している人
  • 現代を舞台としたお話を求めている人
  • どうせなら落語として生の形で楽しみたいと思う人
タイトル 日本の小僧
著者 三遊亭 円朝
出版社 青空文庫

『政治家と家庭』太宰 治

けれども、兄は、それが出来るかも知れない極めて少数のひとの一人だと思います。

太宰治『政治家と家庭』青空文庫,2009年,位置№11(Kindle版)

「さて、今の政治家はどうだろうか?」と思った短編になります。

太宰さんの頃の政治家というのは、彼の視点から見て、あまり家庭を顧みるような人物は少なかったようで。

もし、時代の経過と共に好転しているのなら、それは良きことですね。

オススメできる人

  • 短編が好きな人
  • さらっと読み終わる作品を求めている人
  • 静かに身内のことをそっと褒めている文章を読んでみたい人

オススメできない人

  • 長編作品を求めている人
  • 太宰 治さんの描く物語を読みたい人
  • タイトルこれといってに惹かれる気持ちを抱いていない人
タイトル 政治家と家庭
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『好奇心』織田 作之助

殺されればあたしも美人だ。

織田 作之助『好奇心』青空文庫,2009年,位置№9(Kindle版)

何かささっと一息で書いた感を覚える短編。

習作というか。

気になったのは「他の人はどんな感覚なのか?」と思い、覗いたAmazonのレビュー。

誤って投稿されたのかな、と疑問符が浮かぶ内容が多く存在しました。

オススメできる人

  • 織田 作之助さんの文章に興味がある人
  • さくっと読み通せる内容を求めている人
  • 最後のオチがクスッとさせてくれる本が好きな人

オススメできない人

  • 長編作品を求めている人
  • 心揺さぶられる作品を欲している人
  • 何度も読み返したくなるような、そんな1冊を求めている人
タイトル 好奇心
著者 織田 作之助
出版社 青空文庫

『砂をかむ』坂口 安吾

お父さん、というのはてれくさくていけない。

坂口 安吾『砂をかむ』青空文庫,2009年,p.1(Kindle版)

坂口 安吾さんの家庭のお話になります。

坂口さんは、お子さんからの呼ばれ方として、パパ呼びを採用されたようですが、何とも微笑ましい。

にこやかな気持ちを得たい方はぜひ。

オススメできる人

  • さくっと読み終える本を欲している人
  • ニコニコとしてしまう1冊を求めている人
  • 坂口 安吾さんの家庭のお話に興味がある人

オススメできない人

  • 長編作品を読みたい気分の人
  • 作家の私生活を感じる本は避けている人
  • 坂口 安吾さんの描く物語を求めている人
タイトル 砂をかむ
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『眼鏡』織田 作之助

胸を病んでいると宣告されたような不安な顔をわざとして見せたが、そのくせちっとも心配なぞしていなかった。

織田 作之助『眼鏡』青空文庫,2009年,位置№6(Kindle版)

私はいつから掛けただろうと過去を振り返ることとなりました。

登場人物のように初めて使う際、そわそわとした感情を覚えていたりしていたのか。

文章内の価値観に時の流れを感じることになった1冊でした。

オススメできる人

  • 読みやすい作品を求めている人
  • 短い文章でも読みたい気分の人
  • 織田 作之助さんの文章を読んでみたい人

オススメできない人

  • 古い作品は求めていない人
  • 心に残る作品を探している人
  • 読み応えのある1冊を求めている人
タイトル 眼鏡
著者 織田 作之助
出版社 青空文庫

『年賀郵便』岡本 綺堂

忙がしい世の人に多大の便利をあたえるのは、年賀郵便である。

岡本 綺堂『年賀郵便』青空文庫,2008年,位置№34(Kindle版)

知らない言葉がありました。

それは「回礼者」というもの。

調べてみたところ、新年の挨拶をして回る人の事を指すようです。

それが、日清戦争を契機として、年賀状へと移り変わっていったようで。

時代は変化していくのだなと感じた次第です。

年賀状の次は果たして?

オススメできる人

  • 知識を得ることが好きな人
  • 時代の変化を感じてみたい人
  • 昔の生活を窺い知ることのできるお話を好む人

オススメできない人

  • 現代の作品を読みたい人
  • 過去の出来事にはあまり興味が無い人
  • ある程度のページ数をもった作品を求めている人
タイトル 年賀郵便
著者 岡本 綺堂
出版社 青空文庫

『マージナル・オペレーション 01』芝村 裕吏

会社にいた頃は一度も見たことがないが、これが迫撃砲というものらしい。

芝村 裕吏『マージナル・オペレーション 01』2012年,講談社,p.3(Kindle版)

現代の軍事モノを求めている人にオススメです。

読み口も軽いので、サクッと読めます。

オススメできる人

  • 読み易い作品を欲している人
  • ミリタリー系統のジャンルが好きな人
  • 銃を主に用いる戦闘が描かれる作品を求めている人

オススメできない人

  • 硬い文体を求める人
  • 人の争いが描かれる物語は苦手な人
  • ファンタジー要素を含む作品が読みたい気分の人
タイトル マージナル・オペレーション 01
著者 芝村 裕吏
出版社 講談社

『サムライ転移 1』四辻 いそら

後継指名の際に兄上が申しておられたように、人の世とは是、地獄に似たり。

四辻 いそら『サムライ転移 1』2023年,KADOKAWA,p.352(Kindle版)

お侍さんが異世界に転移する物語。

出てくる要素は、ギルドに迷宮にマジックバッグにと昨今よく聞く要素ばかり。

しかし、作者さんの豊富な語彙や広範な知識によってか、中々に面白い1冊でした。

今後の展開が楽しみです。

オススメできる人

  • 異世界転移モノが好きな人
  • 軽すぎず、重すぎずな文体を求める人
  • 「武士が主人公の物語」に惹かれる気持ちを覚える人

オススメできない人

  • 含蓄のある内容を求める人
  • 現実世界を舞台としたリアルな物語を求める人
  • 昨今よく耳にするテンプレートな要素に飽きを覚えてしまった人
タイトル サムライ転移 1
著者 四辻 いそら
出版社 KADOKAWA

『神童でなかったラムボオの詩』坂口 安吾

私は今までラムボオは神童だつたに違ひないと考へてゐたが、この詩集を読んでみると私の考へがまちがつてゐたことに気付いた。

坂口 安吾『神童でなかつたラムボオの詩青空文庫,2009年,位置№5(Kindle版)

「汚れつちまつた悲しみに」などで世に広く知られる中原 中也さんが訳したフランスの詩人であるランボーの詩集『学校時代の詩』。

そちらを坂口 安吾さんが評している短編になります。

ランボーの詩はこれまで恐らく目にしたことが無いので、坂口さんの感想について、何とも言えないというのが正直な所……。

「そのうちランボーの詩集読んでみようかな?」とはなりました。

オススメできる人

  • 短編を求めている人
  • 坂口 安吾さんの文章が好きな人
  • ランボーの詩を読んだことがある人?

オススメできない人

  • 物語を求めている人
  • 詩にあまり興味が無い人
  • ある程度のページ数をもった作品が読みたい人
タイトル 神童でなかったラムボオの詩
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『サムライ転移 2』四辻 いそら

親しげに声を掛けてきたのは、筋骨隆々の巨大な蜥蜴だった。

四辻 いそら『サムライ転移 2』2023年,KADOKAWA,p.148(Kindle版)

みなさんは、知らない言葉が出てくる物語ってどうでしょう?

私は結構ワクワクしてしまって。

調べて「へえ、こんな意味なんだ」とか「現代では使う場面ないなあ……」とか一人静かに思ったりします。

この物語では、主人公が侍さんなこともあって、関連用語がズラリ。

気になってたくさん検索することとなりました。

様々な言葉に触れるのが好きな方もぜひ。

オススメできる人

  • さくっとライトな物語を読みたい気分の人
  • 様々な種族が登場するタイプの世界観が好きな人
  • 「おお、いいね!」と思える描写が含まれる作品を求めている人

オススメできない人

  • 硬い文章を読みたい気分の人
  • 心がギュッと苦しくなるような物語が好きな人
  • 一喜一憂が頻発するような物語を求めている人
タイトル サムライ転移 2
著者 四辻 いそら
出版社 KADOKAWA

『単独犯行に非ず』坂口 安吾

犯行は労組と無関係であっても何か大きな別な組織的集団によって行われたことは考えられる。

坂口 安吾『単独犯行に非ず』青空文庫,2009年,位置№9(Kindle版)

そのときの時代背景を知識として有していないと「?」が浮かぶ作品というものがあります。

この短編もその1つ。

軽く調べたところ、「下山事件」という1949年に起きた未解決事件に対しての文章のようで。

関心がある方は、色々と検索をかけてみるのもよいかもしれません。

オススメできる人

  • 短編を求めている人
  • 「未解決事件」という言葉に対して興味が沸く人
  • 色々と想像をかきたてられる作品を読んでみたい人

オススメできない人

  • 長編の物語作品などを読みたい気分の人
  • 本文だけで完結する作品を求めている人
  • ある出来事を知っていないと理解が及ばないお話は苦手な人
タイトル 単独犯行に非ず
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『大切な雰囲気 01 序』谷崎 潤一郎

人と人とが長い人生の行路に於いて偶然に行き遭い、相接触し、互いに感化を及ぼし、やがて再び別れ別れになって行く因縁を思うと、奇妙な感じがしないでもない。

谷崎 潤一郎『大切な雰囲気 01 序』青空文庫,2016年,位置№3(Kindle版)

谷崎 潤一郎さんの著作を自ら読むという経験は、恐らくこれまでに無かったこと。

というのも、なんだか文章が難しそうな気がしていたから。

しかし、この短編からはそんなこと微塵も感じず。

むしろ「読んでみたいな」という気持ちを覚えるに至りました。

文章内に出てきた『蓼食う虫』でも、そのうち読んでみようかなと思います。

オススメできる人

  • 短編作品を欲している人
  • 読み易い作品を求めている人
  • 谷崎 潤一郎さんの文章に興味がある人

オススメできない人

  • 長編の物語を求めている人
  • フィクション作品を読みたい気分の人
  • 故人について触れている文章は不得手な人
タイトル 大切な雰囲気 01 序
著者 谷崎 潤一郎
出版社 青空文庫

『大切な雰囲気 02 序』石井 柏亭

鬼才小出楢重が逝いてから早くも五年になろうとする。

石井 柏亭『大切な雰囲気 02 序』青空文庫,2008年,位置№3(Kindle版)

みなさんは小出 樽重という人物をご存知でしょうか。

谷崎 潤一郎さんの『大切な雰囲気 序 01』に続いてこの短編も、彼についての事柄が記されています。

果たして錚々たる人物に評されるこの方は、いったいどんな人だったのか。

機会があれば実際に彼の絵を目にしてみたいものです。

オススメできる人

  • さらりと読み終えられる文章を求めている人
  • 洋画家・小出 樽重さんについて興味がある人
  • 洋画家・石井 柏亭さんの文章を読んでみたい人

オススメできない人

  • 長編作品を求めている人
  • 古い文章を読むのは苦手な人
  • フィクションの物語を欲している人
タイトル 大切な雰囲気 02 序
著者 石井 柏亭
出版社 青空文庫

『マージナル・オペレーション 02』芝村 裕吏

異様だなと思ったのは、逃げていた野次馬などが携帯を取り出して僕たちを撮影し始めたことだ。

芝村 裕吏『マージナル・オペレーション 02』2023年,講談社,p.13(Kindle版)

明治時代などの古い作品と、こういった昨今の読み物を読む中で思うこと。

それは、求める状況によってはどちらも良いということです。

前者はじんわりとした余韻の残る深みがあることが多いのに対し、後者は瞬間的な面白さが強い。

色々な本を受け入れられる下地をいつまでも持っていたいものです。

オススメできる人

  • ミリタリー系のジャンルが好きな人
  • 物語にシンプルな面白さを求める人
  • 物語の舞台が現代世界な作品を好む人

オススメできない人

  • 戦闘要素のある作品は苦手な人
  • 人が命を落とす描写のある作品は求めていない人
  • 魔法などが用いられる世界のお話を欲している人
タイトル マージナル・オペレーション 02
著者 芝村 裕吏
出版社 講談社

『日本の水を濁らすな』坂口 安吾

日本は水の澄んでいる国なんだよ。

坂口 安吾『日本の水を濁らすな』青空文庫,2009年,位置№22(Kindle版)

タイトルから想像する内容とは大きく異なる内容の1冊でした。

ああ、そういう意味での「濁らすな」なのだなと。気になる方はぜひ。

オススメできる人

  • ユーモアを感じさせる文章が好きな人
  • 坂口 安吾さんの文章を感じてみたい人
  • さくっと読み通せる1冊を求めている人

オススメできない人

  • 物語を欲している人
  • 長編作品を読みたい気分の人
  • 最近出版された本を求めている人
タイトル 日本の水を濁らすな
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『辺境の老騎士 V』支援BIS

それこそが、本当に恋に殉ずるということではなかったのか。

支援BIS『辺境の老騎士 V』2015年,KADOKAWA,p.187(Kindle版)

物語の終幕。

素敵な本との別れほど、寂しいものはありません。

記憶を消失して読みたいと思えるシリーズが、また1つ増えることとなりました。

オススメできる人

  • 人を愛することの美しさを知りたい人
  • 数々の示唆を与えてくれる1冊を読んでみたい人
  • 人間の思考の、想像の無限の可能性を感じたい人

オススメできない人

  • 登場人物が多いと混乱してしまう人
  • 独自の用語が出てくる作品は苦手な人
  • 涙を湛えずにはいられない描写を今は受け入れられない人
タイトル 辺境の老騎士 V
著者 支援BIS
出版社 KADOKAWA

『マージナル・オペレーション 03』芝村 裕吏

賢い敵は話し合いにも乗ってくる。妥協点も見つけやすい。そういう意味で敵は賢いに限る。

芝村 裕吏『マージナル・オペレーション 03』2023年,講談社,p.101(Kindle版)

現実の悲しみを感じた1冊でした。

フィクションではあるのだけれど、世界のどこかに近しいものが実際に存在している可能性はあって。

皆が皆、楽しく平和に暮らしていける世界にならないものでしょうか。

綺麗事だけではやはり日々を歩んでいけないというのが、悲しい現実か。

オススメできる人

  • 戦闘要素のある作品を好む人
  • 現代を舞台にした作品を求める人
  • 気持ちを揺さぶる作品を読みたい気分の人

オススメできない人

  • 平和な物語を欲している人
  • 悲しい展開は求めていない人
  • 暴力を感じる作品は苦手な人
タイトル マージナル・オペレーション 03
著者 芝村 裕吏
出版社 講談社

『冷かされた桃割娘』上村 松園

いつも一番なつかしく若い頃を思い出させるのはその頃の縮図帖です。

上村 松園『冷かされた桃割娘』青空文庫,2009年,位置№2(Kindle版)

この短編の初出は1936年。

90年近くも過去のお話です。

それゆえに、現代ではそう使われていない言葉も多く。

例えば「毛氈」、「桃割」、「席画」。

知らない言葉を知る機会を得られる、というのは価値だなあと思った次第です。

オススメできる人

  • 過去の日々を感じられる本が好きな人
  • 知らない言葉が出てくるとワクワクする人
  • さらりと読み終えられる文章を求めている人

オススメできない人

  • 長編作品を求めている人
  • 現代の作品が読みたい人
  • 見知らぬ言葉が出てきた際に調べることを厭う人
タイトル 冷かされた桃割娘
著者 上村 松園
出版社 青空文庫

『仔猫の「トラ」』片山 広子

トラ子はもみの頸輪をして、庭のいてふの樹を駈けあがりかけ下りたりしてゐる。

片山 広子『仔猫の「トラ」』青空文庫,2008年,位置№2(Kindle版)

猫という単語が入っているだけで気になる不思議。

何でもない日常がただ綴られているだけですが、悪くありません。

さらりと読めます。

オススメできる人

  • 猫好きな人
  • さくっと読める文章を求めている人
  • 短編でも軽く読もうかなという気分の人

オススメできない人

  • 猫は不得手な人
  • 物語を欲している人
  • 深みのある内容を求める人
タイトル 仔猫の「トラ」
著者 片山 広子
出版社 青空文庫

『マージナル・オペレーション 04』芝村 裕吏

隔絶された地域に住んでいる人々にとって国への帰属意識などありはしないのだ。

芝村 裕吏『マージナル・オペレーション 04』2023年,講談社,p.139(Kindle版)

読みながら登場人物に対して死なないことを思わず願う作品。

胸がキリキリとする展開がお好きな方にオススメです。

オススメできる人

  • 緊張感のある展開が好きな人
  • 銃が用いられる作品を好む人
  • 命の重さを感じる作品を求めている人

オススメできない人

  • 苦しい展開は不得手な人
  • 日常系の平和な作品を求めている人
  • 人と人とが争うような内容は求めていない人
タイトル マージナル・オペレーション 04
著者 芝村 裕吏
出版社 講談社

『男女川と羽左衛門』太宰 治

或る種の作家は、本気に書くつもりの小説を前もって広告する事を避けたがるものである。

太宰 治『男女川と羽左衛門』青空文庫,2009年,位置№19(Kindle版)

太宰さんの近くにお住いだったお相撲さんのお話です。

私の近所には残念ながらお相撲さんはいらっしゃいませんが、やっぱり「おお、すごい!」と体付きを見て思ったりするものなのでしょうか。

人生で一度くらいは生で拝見したいものですね。

オススメできる人

  • 短編を求める人
  • 相撲が好きな人?
  • 何でもない日常を感じる内容を読んでみたい人

オススメできない人

  • 面白さを求める人
  • 長編のタイトルを求めている人
  • ハラハラドキドキするような内容を欲している人
タイトル 男女川と羽左衛門
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『独断一束』岸田 国士

芸術としての思想の魅力は、芸術家が、その思想を、軽く掌の上にのせてゐる時にのみ、われわれの心を動かす。

岸田 国士『独断一束』青空文庫,2009年,位置№3(Kindle版)

ふっと頭によぎった考えを、どこかに通り過ぎてしまわないうちに、さっと書き留めたような。

そんな短文がそれぞれタイトルを持って、記されている1冊です。

人の多様な視点を感じるというのも悪くありません。

オススメできる人

  • 物語を読みたい気分ではない人
  • さっと読める文章を求めている人
  • インスピレーションをもたらしてくれそうな内容を欲している人

オススメできない人

  • 読み応えのある1冊を好む人
  • 長編の作品を読みたい気分の人
  • 面白味を感じる文章を求めている人
タイトル 独断一束
著者 岸田 国士
出版社 青空文庫

『兄貴のような心持――菊池寛氏の印象――』芥川 龍之介

それ程自分に兄貴らしい心もちを起させる人間は、今の所天下に菊池寛の外は一人もいない。

芥川 龍之介『兄貴のような心持青空文庫,2005年,位置№21(Kindle版)

芥川さんが菊池 寛さんについて述べている短編になります。

作家間でそういった交友があり、尚且つ芥川さんが菊池さんを兄貴のように慕っていたことは何とも驚き。

菊池さんの視点からの文章も読んでみたいものです。

オススメできる人

  • 短い文章を好む人
  • 読み易い文体を求めている人
  • 「信頼」というものを感じさせる文章を読んでみたい人

オススメできない人

  • ある程度文量のある作品を欲している人
  • 芥川さんや菊池さんについてこれっぽっちも興味が無い人
  • 最近になって出版されたような新しい作品を読みたい気分の人
タイトル 兄貴のような心持――菊池寛氏の印象――
著者 芥川 龍之介
出版社 青空文庫

『諦めている子供たち』坂口 安吾

諦観のドン底をついておって自分の葬式まで笑いとばすような根性が風土的に逞しく行き渡っているのである。

坂口 安吾『諦めている子供たち』青空文庫,2006年,位置№29(Kindle版)

地域色というものがあります。

南国には南国の、北国には北国の、都会には都会の。

何となくの考え方やものの見方に少なからず方向性があるとでも言えばいいでしょうか。

現代においては、それはもうかなり薄まったものと思われますが、この本が書かれた時代にはまだまだ色濃く存在していたようで。

時代の移り変わりというものを考えることになった1冊でした。

オススメできる人

  • 新潟の人 ※新潟の方言?が出てきます
  • さくっと読み終わる作品を求めている人
  • 短編の文章でも読みたいなという気分の人

オススメできない人

  • 物語作品を読みたい人
  • ある程度のページ数をもった本を求めている人
  • 数分程度で読み終わってしまう作品は求めていない人
タイトル 諦めている子供たち
著者 坂口 安吾
出版社 青空文庫

『マージナル・オペレーション 05』芝村 裕吏

「心に翼が生えている奴は皆そう言うんだ。大したことはないとな」

芝村 裕吏『マージナル・オペレーション 05』2023年,講談社,p.130(Kindle版)

苦あれば楽ありという言葉があります。

読んで字のごとく、苦しみの後に楽しいことが待っているという意味です。

しかし、それと同時に楽あれば苦ありということもあります。

喜びの後に悲しみが来たる、と。

物語において、そういった展開は必須。

山あり谷ありでなければ、盛り上がりに欠けてしまうためです。

けれど、この本においては、それが無ければいいと思いました。

なぜなら、この物語においての「苦」は誰かの「死」に繋がってしまうから。

優れた物語ではありますが、苦手な人も多いかもしれないと思うシリーズでした。

オススメできる人

  • ミリタリー系統の作品が好きな人
  • 一喜一憂することの多い物語に興味がある人
  • 読み進めざるを得ない面白さを内包する作品に興味がある人

オススメできない人

  • 下品な話がたまに入る作品は苦手な人
  • 人と人とが争うような展開は求めていない人
  • 人が害され、害される描写を含む物語は不得手な人
タイトル マージナル・オペレーション 05
著者 芝村 裕吏
出版社 講談社

『民主主義』織田 作之助

彼はがっかりして会わずに帰った。

織田 作之助『民主主義』青空文庫,2009,p.1(Kindle版)

含む意味を取ることが難しい短編。

何事も程々が肝要、とでも受け取ればよいのでしょうか?

オススメできる人

  • 短編を読みたい人
  • 織田 作之助さんの文章に触れてみたい人
  • 「……はて?」と少し考えたくなるお話に興味がある人

オススメできない人

  • 分かりやすい表現を好む人
  • 昔の作品には興味がない人
  • ある程度の分量がある作品を求めている人
タイトル 民主主義
著者 織田 作之助
出版社 青空文庫

『一歩前進二歩退却』太宰 治

安売りしているのは作品である。作家の人間までを売ってはいない。

太宰 治『一歩前進二歩退青空文庫,2005年,位置№19(Kindle版)

その作家さんの小説を好きになって、著作を読み漁って、遂には作家さん自身の事まで気になり始める。

その気持ちは分からなくもありませんが、その一つ一つの言動にまで口を出すとなれば、それは行き過ぎた行為。

有名になるというのも大変だなと感じた1冊でした。

オススメできる人

  • 短編の作品を読みたい人
  • 太宰 治さんの作品に興味がある人
  • 有名な人 ※同調できるかもしれないという点で。

オススメできない人

  • 古い作品は苦手な人
  • 長編作品を読みたい人
  • 太宰 治さんの文章が苦手な人
タイトル 一歩前進二歩退却
著者 太宰 治
出版社 青空文庫

『狼は眠らない 02』支援BIS

「大いなる叡智よ、火と風の支配者よ、わが願うは地上の太陽、わが捧げるは生け贄の血、まつろわぬ者どもを討ち滅ぼし、神の栄光を証す者に祝福を与えよ」

支援BIS『狼は眠らない』2019年,KADOKAWA,p.51(Kindle版)

作者さんが目を閉じれば、他の世界がそこには広がっているのかな。

そう思えるくらいに鮮明でリアルな物語が描かれています。

無骨なファンタジー作品がお好きな方はぜひ。

オススメできる人

  • 支援BISさんの作品が好きな人
  • ただただ夢中になれる作品を欲している人
  • 読み進める手が止まらない物語を求めている人

オススメできない人

  • 戦闘要素を含む物語は苦手な人
  • 舞台設定が現代世界な作品を求めている人
  • 人と人との争いが描かれる作品は不得手な人
タイトル 狼は眠らない 02
著者 支援BIS
出版社 KADOKAWA

最後に

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

この記事シリーズを書いていてつくづく思ったのは「読むのは全く以って問題ないが、それぞれの情報をまとめるって大変だ」ということ。

気付けば文字数15000字を越えていましたし……。

次チャレンジするなら「ハヤカワ文庫の80冊」のようなものの方がいいのかもしれません。

冊数抑え目でいけば、年内か年明け達成できるんじゃないか、と。

気が向けば挑戦してみたいと思います。

では、今後とも皆さまお元気でお過ごしください。

次回の記事もよろしければお願いいたします。