この記事を書き始めたのは、9月の半ば。
しかし、書き終わったのは10月の終わり。
「たくさん読む=調べたり、書く時間が跳ね上がる」なのだなあと感じた次第です。
さて、そんな忙しない日々の中で8月に読み終えた冊数は34冊。
7月より冊数としては、ぐんと伸びる結果となりました。
気になる本でもあれば幸いです。
- 8月に読んだ本
- 『 』藤木 わしろ
- 『幸福な食卓』瀬尾 まいこ
- 『0からはじめるStable Diffusion』romptn編集部
- 『英雄と賢者の転生婚 1』藤木 わしろ
- 『最底辺からニューゲーム !』藤木 わしろ
- 『最底辺からニューゲーム ! 2』藤木 わしろ
- 『羅生門』芥川 龍之介
- 『カリスマ論 : ビンワード電子版』岡田 斗司夫
- 『最底辺からニューゲーム! 3』藤木 わしろ
- 『河童』芥川 龍之介
- 『雨ニモマケズ』宮沢 賢治
- 『きのこ会議』夢野 久作
- 『最底辺からニューゲーム! 4』藤木 わしろ
- 『クロゥレン家の次男坊3』島田 征一
- 『ア、秋』太宰 治
- 『星めぐりの歌』宮沢 賢治
- 『形』菊池 寛
- 『ねずみの嫁入り』楠山 正雄
- 『悪魔』芥川 龍之介
- 『お茶漬けの味』北大路 魯山人
- 『ある夏の日のこと』小川 未明
- 『セロ弾きのゴーシュ』宮沢 賢治
- 『不良少年とキリスト』坂口 安吾
- 『星の銀貨』グリム兄弟
- 『貉』小泉 八雲
- 『赤い蝋燭』新美 南吉
- 『愛読書の印象』芥川 龍之介
- 『僕の孤独癖について』萩原 朔太郎
- 『幽霊』江戸川 乱歩
- 『鼻』芥川 龍之介
- 『私は海をだきしめていたい』坂口 安吾
- 『「死」の問題に対して』新渡戸 稲造
- 『こゝろ』宮沢 賢治
- 『(あなたが生れたその日に)』中原 中也
- 最後に
8月に読んだ本
では、8月に読んだ本の紹介です。
この月は、これまであまり手を伸ばしてこなかった古い時代の作品を多く読みました。
太宰さんに芥川さんに、坂口さんにと思わず構えてしまう錚々たるメンバーですが、これが想定していた以上に良く。
「なんでこれまで読んでこなかったんだろう?」と不思議に思ったほどです。
後は、数ページ足らずの短編であったことも良かったと感じます。
作者さんの文体を知りつつ、書き口を味わいつつ、さらりと読み終えられるから。
文豪と呼ばれる面々の著作に触れてみたい方はぜひ。
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『
』藤木 わしろ「──それが『鉄血の誓い』だと、私の主は言っていたわ」
藤木 わしろ『 』ホビージャパン,2024年,p.121(Kindle版)
たくさんのライトノベルを読み漁る中で時折起こる嬉しいこと。
それは、自らに刺さる作品に巡り合うこと。
誰も彼もが同じ気持ちを得ることは難しいかもしれませんが、読んでみる価値アリの1冊です。
オススメできる人
- 痛快な物語が好きな人
- ワクワクする気持ちを抑えられない作品を求めている人
- 「これは遠からずアニメ化するな」と感じられる作品を読んでみたい人
オススメできない人
- ファンタジーは嫌いな人
- 終始平和な物語を読みたい人
- 次巻を買わずにはいられない作品と巡り合ってはマズい人
タイトル | |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 259ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『幸福な食卓』瀬尾 まいこ
「なんで。佐和子だって、去年、一緒にクリスティーヌ食べたじゃん」
瀬尾 まいこ『幸福な食卓』講談社,2004年,p.153(Kindle版)
何度も読み返したくなる本というものがあります。
私にとってはこの本もその1つ。
中高生の頃に出合ってから、幾度読み返してきたことでしょうか。
長い時を経ても、色褪せない名作。
読んだことの無い方は、この機会にぜひ。
オススメできる人
- 温もりを感じる作品を求めている人
- するすると読める分かりやすい文体を好む人
- 家族を物語の中心に据えている作品を読みたい人
オススメできない人
- 涙腺を刺激する作品は苦手な人
- ショッキングな出来事を今は受け入れられない人
- ファンタジーなど非日常なジャンルを読みたい気分の人
タイトル | 幸福な食卓 |
著者 | 瀬尾 まいこ |
出版社 | 講談社 |
ページ数 | 210ページ |
ジャンル | 一般文芸 |
『0からはじめるStable Diffusion』romptn編集部
絵心があまりない方でも、好きなイラストを作ることができるので、非常に魅力的なツールです。
romptn編集部『0からはじめるStable Diffusion』2023年,p.17(Kindle版)
「画像生成AIってどんな感じでだろう」と思い、読んでみた次第です。
画像等も用いて分かり易く解説されていましたので、初心者の方にはオススメと言えるかもしれません。
オススメできる人
- 画像生成AIに興味がある人
- アイコンなどを作ってみたい人
- 自らのPCを用いて、色々と取り組んでみたい気持ちがある人
オススメできない人
- パソコンを用いての作業は苦手な人
- 生成aiに対して不信感を抱いている人
- 画像生成AIについての最新情報を欲している人
タイトル | 0からはじめるStable Diffusion |
著者 | romptn編集部 |
出版社 | ー |
ページ数 | 204ページ |
ジャンル | AI |
『英雄と賢者の転生婚 1』藤木 わしろ
「──だけど、今はわたしがいるから一人じゃない」
藤木 わしろ『英雄と賢者の転生婚 1』ホビージャパン,2022年,p.136(Kindle版)
結果的にはこちらも良かったので、満足。
そのうち読もうと思える作品がまた1つ増えることとなりました。
オススメできる人
- 時を超えて系の話に弱い人
- 魔法が登場する物語が好きな人
- ワクワクする物語を欲している人
オススメできない人
- 主人公が初めから強い作品は不得手な人
- バトルシーンを含む作品は好みで無い人
- 設定が緻密に練られている作品を好む人
タイトル | 英雄と賢者の転生婚 1 |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 273ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『最底辺からニューゲーム !』藤木 わしろ
「それじゃ、俺と一緒にそいつらをぶっ潰さないか?」
藤木 わしろ『最底辺からニューゲーム !』2017年,ホビージャパン,p.184(Kindle版)
転生モノといえば、チート能力。
しかし、この物語の主人公はそれを拒否。
弱者の立場からのスタートを希望します。
最底辺からの成り上がりに興味がある方はぜひ。
オススメできる人
- 発想の面白い1冊を求めている人
- 暗躍感のあるストーリーが好きな人
- サクサク読み進めることが出来る1冊を求めている人
オススメできない人
- 硬い文章を読みたい気分の人
- 会話中心の物語は求めていない人
- 月日が大きく飛ぶ展開は不得手な人
タイトル | 最底辺からニューゲーム ! |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 249ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『最底辺からニューゲーム ! 2』藤木 わしろ
あらゆる垣根を超えた光景。
この過酷な世界の中で失われてしまった光景。藤木 わしろ『最底辺からニューゲーム ! 2』2017年,ホビージャパン,位置№3698(Kindle版)
しっかりと面白さが続いている続編になります。
1巻を読んで「結構良かった」と思われる方はぜひ。
オススメできる人
- 読み易い物語を欲している人
- 痛快なストーリーが好きな人
- 淀みなく読み進めることが出来る1冊を求めている人
オススメできない人
- 暗くなる展開は苦手な人
- 硬い文章を読みたい気分の人
- 会話主体の物語は好みで無い人
タイトル | 最底辺からニューゲーム! 2 |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 249ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『羅生門』芥川 龍之介
下人の行方は誰も知らない。
芥川 龍之介『羅生門』2012年,青空文庫,p.10(Kindle版)
時折古い時代の本を読みたくなることがあります。
そんなことで久方ぶりに読み返したこの1冊。
なんというか、本当に隙がない。
余計なものが一切含まれていないというか、洗練されているというか。
傑作、長きにわたって残り続ける物語とはこういうもののことを指すんだろうなと感じた次第です。
オススメできる人
- 短編を読みたい人
- 文豪と呼ばれる作家の文章を感じてみたい人
- 文章量に対しての物語の厚みが凄まじい1冊を読んでみたい人
オススメできない人
- 昔の本は不得手な人
- 明るい内容の本を読みたい人
- 長編小説を読みたい気分の人
タイトル | 羅生門 |
著者 | 芥川 龍之介 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 11ぺージ |
ジャンル | 短編 |
『カリスマ論 : ビンワード電子版』岡田 斗司夫
現代の立身出世とは、他人に対してより大きな影響力を行使できる、カリスマを目指すことだと言えるでしょう。
岡田 斗司夫『カリスマ論 : ピンワード電子版』2016年,ピンワード,p.145(Kindle版)
こういった新書系の本を読んでいて、特にいいなと思うのは自らの視点では得られなかったであろう考え方や出来事などに簡単に触れられることです。
新鮮な他者の視点を感じてみたい方はぜひ手を伸ばしてみてください。
オススメできる人
- 人の考えを知ることが好きな人
- 平易な文体の新書を読みたい人
- 新鮮な物事の見方に触れて見たい人
オススメできない人
- タイトルに興味を惹かれない人
- 論文等に基づいた内容を求める人
- 新書を読むなら出版年月日が最近のものを読みたい人
タイトル | カリスマ論 : ビンワード電子版 |
著者 | 岡田 斗司夫 |
出版社 | ビンワード |
ページ数 | 153ページ |
ジャンル | 文化人類学、民俗学 |
『最底辺からニューゲーム! 3』藤木 わしろ
「あたしたちは逃げない。逃げるような弱い存在じゃない」
藤木 わしろ『最底辺からニューゲーム! 3』2018年,ホビージャパン,位置№2326(Kindle版)
普通に面白いのに次巻で刊行がストップしている不思議……。
新刊が出たら読みたくなるだろうな、と思うくらいには楽しく読めるシリーズでした。
オススメできる人
- ライトに楽しめる物語を求めている人
- サクサク読み進められる1冊を欲している人
- 展開がテンプレートでない作品を読みたい人
オススメできない人
- 硬い文章を読みたい気分の人
- 求めているジャンルがファンタジーではない人
- 名前を持つキャラクターが沢山登場する作品は苦手な人
タイトル | 最底辺からニューゲーム! 3 |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 235ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『河童』芥川 龍之介
(前略)──僕が河童というものを見たのは実にこの時がはじめてだったのです。
芥川 龍之介『河童』2012年,青空文庫,p.3(Kindle版)
文豪の書いた本というのは、中々に難解で読み進めることに時間が必要、という印象がありました。
しかし、思いの外そうではない。
100年近く前の1冊であるというのに、特に問題なく普通に楽しく読めたのです。
そう長いお話でもありませんので、気が向きましたらぜひ。
オススメできる人
- 不可思議な物語を求めている人
- 文豪と呼ばれる人間の書いた本に興味がある人
- 終始、どこか仄かに暗さが香る作品に興味がある人
オススメできない人
- 明るい物語を求めている人
- 昔に書かれた本は不得手な人
- 現実的でない物語は好みでない人
タイトル | 河童 |
著者 | 芥川 龍之介 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 69ページ |
ジャンル | 短編 |
『雨ニモマケズ』宮沢 賢治
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ宮沢 賢治『雨ニモマケズ』2012年,青空文庫,p.3(Kindle版)
芥川 龍之介さんの本を先に読み、近しい時代の他の作家さんの本も読みたくなったことから改めて手に取りました。
約1分、あるいは数十秒で読み終わりますが、そこに記されている宮沢 賢治さんの精神性や価値観はやはり無二。
学生の頃に目を通した頃とは、きっと異なる気持ちを抱くことになる1冊です。
オススメできる人
- 考えさせられる本を読みたい人
- 何かを与えてくれる1冊を探している人
- 人生の折々に読み返したくなるような1冊を求めている人
オススメできない人
- 詩は不得意な人
- ある程度腰を据えて、長い文章を楽しみたい人
- 文章を読み、想いを馳せるということが苦手な人
タイトル | 雨ニモマケズ |
著者 | 宮沢 賢治 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 4ページ |
ジャンル | 詩 |
『きのこ会議』夢野 久作
(前略)片っ端から毒茸共は大きいのも小さいのも根本まで木っ端微塵に踏み潰されてしまいました。
夢野 久作『きのこ会議』2012年,青空文庫,p.4(Kindle版)
「夢野 久作」という名前を見ると思い浮かぶのが『ドグラ・マグラ』。
日本探偵小説三大奇書の1つに数えられる1冊です。
しかし、この『きのこ会議』という短編は、上記の有名作品とは違い大分コミカル。
ちょっとした可愛らしさを感じるほどです。
『ドグラ・マグラ』にはちょっと手が伸びないものの、夢野 久作さんの本はちょっと気になるという方はぜひ。
「へえ、こんなのも書かれているんだ」という気持ちになります。
オススメできる人
- きのこが好きな人?
- 短編を読みたい気分の人
- 夢野 久作さんの著作を読んでみたい人
オススメできない人
- 心躍る物語を求めている人
- 読み応えのある作品を欲している人
- 『ドグラ・マグラ』のような作品を読みたい人
タイトル | きのこ会議 |
著者 | 夢野 久作 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『最底辺からニューゲーム! 4』藤木 わしろ
「俺は人間が大好きだ。ただそれだけの理由だよ」
藤木 わしろ『最底辺からニューゲーム! 4』ホビージャパン,2018年,位置№382(Kindle版)
あとがきを見るに、この巻で恐らく終わりのよう。
物語後半はそのこともあってか、少々足早な展開を感じましたが、それでも楽しく読める内容であったので残念です。
作者さんの最新作、シリーズに期待といったところでしょうか。
オススメできる人
- ファンタジー作品を読みたい人
- 数冊で完結している物語を求めている人
- サクサク読み進められる1冊を欲している人
オススメできない人
- 足早な展開は好まない人
- 長く続いている作品が読みたい気分の人
- 登場人物がたくさんいると混乱してしまう人
タイトル | 最底辺からニューゲーム! 4 |
著者 | 藤木 わしろ |
出版社 | ホビージャパン |
ページ数 | 230ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『クロゥレン家の次男坊3』島田 征一
月明かりも無い真夜中に、ワタシの幸せはある。
島田 征一『クロゥレン家の次男坊3』TOブックス,2023年,p.166(Kindle版)
私は比較的本をよく読むタイプの人間。
そのせいもあって、あまり印象に残っていない内容は、正直忘れてしまうことがあります。
久方ぶりに新刊が出て「……どちら様?」と登場人物に対して思ってしまうのです。
しかし、このライトノベルは忘れていなかった。
よくある、ありふれた物語ではなかったために。
気になる方はぜひ。
オススメできる人
- しっかり読めるライトノベルを求めている人
- ワンパターンな展開でない作品を欲している人
- アニメ化などの期待が持てそうな作品を先んじて読んでおきたい人
オススメできない人
- 硬い文章が好きな人
- 戦闘要素のある作品を求めていない人
- 思わず吹き出してしまうタイプの面白い物語を欲している人
タイトル | クロゥレン家の次男坊3 |
著者 | 島田 征一 |
出版社 | TOブックス |
ページ数 | 291ページ |
ジャンル | ライトノベル |
『ア、秋』太宰 治
蜻蛉のからだが、秋の日ざしに、透きとおって見える。
太宰 治『ア、秋』青空文庫,2012年,p.2(Kindle版)
自らが過去に書いたメモに再度目を通している。
そんな短編。
何でもない内容なのに、そこはかとない情感がそこにはありました。
オススメできる人
- 雰囲気の良さを感じる作品が好きな人
- 太宰 治さんの文章に軽く触れてみたい人
- 数分内には読み終わる文章を求めている人
オススメできない人
- 物語系の作品を求めている人
- 最近の本を読みたい気分の人
- 長く文章の世界に浸っていたい人
タイトル | ア、秋 |
著者 | 太宰 治 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『星めぐりの歌』宮沢 賢治
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。宮沢 賢治『星めぐりの歌』青空文庫,2012年,p.2(Kindle版)
思わず夜空を見上げたくなる。
星座の形を調べてみたくなる。
そんな詩がそっと記されていました。
オススメできる人
- 星が好きな人
- 詩を読むのが好きな人
- 綺麗な文を読みたい人
オススメできない人
- 物語を欲している人
- 詩の良さがよく分からない人
- 長編の作品を読みたい気分の人
タイトル | 星めぐりの歌 |
著者 | 宮沢 賢治 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 3ページ |
ジャンル | 詩 |
『形』菊池 寛
火のような猩々緋の服折を着て、唐冠纓金の兜をかぶった彼の姿は、敵味方の間に、輝くばかりのあざやかさをもっていた。
菊池 寛『形』青空文庫,2012年,位置№8(Kindle版)
数分程度で読み終わってしまうほど短い文章であるというのに、何だろうこの満足感の高さは。
この作者さんの他の本も読んでみたくなる短編でした。
オススメできる人
- 短い文章を求めている人
- 含蓄のある1冊に興味がある人
- 菊池 寛さんの文章を読んでみたい人
オススメできない人
- 最近の本を読みたい気分の人
- 長く夢中になれる1冊を求めている人
- 途中で結末が予想できてしまう内容は苦手な人
タイトル | 形 |
著者 | 菊池 寛 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『ねずみの嫁入り』楠山 正雄
「うちの娘は日本一の娘なのだから、何でも日本一のお婿さんをもらわなければならない。」
楠山 正雄『ねずみの嫁入り青空文庫,2012年,位置№2(Kindle版)
可愛い物語という印象。
登場人物に一片たりとて害意を感じないのが素敵です。
この世も皆楽しく、皆にこやかに日々を過ごすことが出来ればいいのに……。
現実とは、難しいものです。
オススメできる人
- 優しさのある作品を求めている人
- 悪意を感じない物語を欲している人
- 読み聞かせに向いた本を探している人
オススメできない人
- 長編作品を求めている人
- 硬い文章を読みたい気分の人
- 人の汚い部分を感じる作品を求めている人
タイトル | ねずみの嫁入り |
著者 | 楠山 正雄 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 6ページ |
ジャンル | 短編 |
『悪魔』芥川 龍之介
伴天連うるがんの眼には、外の人の見えないものまでも見えたさうである。
芥川 龍之介『悪魔』青空文庫,2012年,p.2(Kindle版)
悪魔という存在が仮にあったとして。
そしてその存在が「悪」とされるものであったとして。
さらに対極には天使という存在があって、「善」とされるものだったとして。
その中間を人という存在は、きっと揺れ動くんだろうなと。
そんなことを考えた1冊でした。
オススメできる人
- すぐに読み終わる短編を求めている人
- 何か考えさせられる1冊を求めている人
- 芥川 龍之介さんの作品を読んでみたいけど「長いのはちょっと……」という人
オススメできない人
- 現代語訳で読みたい人
- 長編作品を楽しみたい気分の人
- 生まれ落ちるより以前の作品はどうにも楽しめない人
タイトル | 悪魔 |
著者 | 芥川 龍之介 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『お茶漬けの味』北大路 魯山人
茶漬けを食いたいと要求する肉体が、自分の好きな茶漬けを食えたらこんな幸せはあるまい。
北大路 魯山人『お茶漬けの味』青空文庫,2015年,位置№.31(Kindle版)
「ああ、お茶漬け食べたい……」となる1冊です。
塩辛い鮭の切り身でも買いに行こうかな。
オススメできる人
- 短い文章を求めている人
- 食べ物について書かれた文章が好きな人
- 北大路 魯山人さんの文章を読んでみたい人
オススメできない人
- 古い本は苦手な人
- 物語系の1冊が読みたい人
- 長編の作品を欲している人
タイトル | お茶漬けの味 |
著者 | 北大路 魯山人 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『ある夏の日のこと』小川 未明
葉の黒ずんだざくろの木に、真っ赤な花が、点々と火のともるように、咲いていました。
小川 未明『ある夏の日のこと』青空文庫,2017年,位置№.25(Kindle版)
小学校の国語の教科書にでも載っていそうなお話。
短い、優しい物語がそこにはありました。
オススメできる人
- 短編のお話を好む人
- 情景が目に浮かぶ作品を読みたい人
- 柔らかい気持ちを覚えることが出来る作品を求めている人
オススメできない人
- 長編の物語を読みたい人
- 読み応えのある作品を求めている人
- サクサク読める文体は好みで無い人
タイトル | ある夏の日のこと |
著者 | 小川 未明 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『セロ弾きのゴーシュ』宮沢 賢治
「なぜやめたんですか。僕らならどんな意気地ないやつでも、喉から血が出るまでは叫ぶんですよ」と言いました。
宮沢 賢治『セロ弾きのゴーシュ』オリオンブックス,2012年,p.12(Kindle版)
これまでの人生のどこかで読んでいたように思っていたこのタイトル。
しかし、読んでみるとそこには知らない物語が。
一意専心、継続するすることの大切さ。
また知らず知らずのうちに人は誰かを助けているのかもしれないなということを考えた1冊でした。
オススメできる人
- 短編作品を求めている人
- 宮沢 賢治さんの作品に興味がある人
- 妙に集中して、一息に読み終わってしまうようなタイトルを求めている人
オススメできない人
- 昔の作品は苦手な人
- 長編の作品が読みたい気分の人
- 動物が言葉を話すような物語は不得手な人
タイトル | セロ弾きのゴーシュ |
著者 | 宮沢 賢治 |
出版社 | オリオンブックス |
ページ数 | 25ページ |
ジャンル | 短編 |
『不良少年とキリスト』坂口 安吾
生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。いつでも、死ねる。そんな、つまらんことをやるな。いつでも出来ることなんか、やるもんじゃないよ。
坂口 安吾『不良少年とキリスト』青空文庫,2012年,p.50(Kindle版)
坂口 安吾さんの本はこれが恐らく始めての読了。
太宰さんの死に触れている部分があり、今を生きる僕らと当時を共に生きた彼らとでは、当然ではありますが、やはりその事実の受け取り方が違うなということを思いました。
また坂口さんの文には、太宰さんに対する親愛の情のようなものが感じられました。
もう少しでも語らいたかったのではないだろうか、とそんなことを読み進める中で感じた次第です。
オススメできる人
- 坂口 安吾さんの本を読んでみたい人
- 太宰 治の死について書かれた本に興味がある人
- 自らの気持ちそのままに、書きなぐったような文体を好ましく感じる人
オススメできない人
- 物語を求めている人
- 古い作品はどうにも不得手な人
- どこか悲哀を感じる文章を読みたくはない人
タイトル | 不良少年とキリスト |
著者 | 坂口 安吾 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 60ページ |
ジャンル | 短編 |
『星の銀貨』グリム兄弟
女の子は、もっていたパンひとかけのこらず、その男にやってしまいました。
グリム兄弟『星の銀貨』青空文庫,2012年,位置№11(Kindle版)
女の子自身の優しさが、自らに返ってくるというお話。
こういった世界であったならいいけれど、現実では残念ながら難しいだろうと少し悲しくなりました。
皆が皆に優しい世界であったならいいのに。
オススメできる人
- ハッピーエンドを好む人
- 優しさ成分の高い作品を読みたい人
- 読み聞かせに向いた短い物語を探している人
オススメできない人
- 長編の作品を求めている人
- 最近発売されたような、新しい作品を読みたい人
- 胸がキリキリとするような、リアルなストーリーを欲している人
タイトル | 星の銀貨 |
著者 | グリム兄弟 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 4ページ |
ジャンル | 短編 |
『貉』小泉 八雲
貉を見た最後の人は、約三十年前に死んだ京橋方面の年とった商人であった。
小泉 八雲『貉』青空文庫,2012年,p.2(Kindle版)
「小泉 八雲」というお名前はこれまでの人生の中で度々聞くものでした。
しかし、その著者名を目掛けて本を読むということは経験が無く。
そのため今回が初めての1冊となりましたが、これが中々興味深いもので。
妖怪めいた、少しばかり寒気の覚えるゾワリとした物語を読みたい気分のとき。
また手を伸ばしてみようと思う次第です。
オススメできる人
- 小泉 八雲さんの著作に興味がある人
- この世ならざる者の登場する作品が好きな人
- 少しばかりの恐れ、怖さを感じる本を求めている人
オススメできない人
- 長編の作品を求めている人
- 愉快な気持ちになる本を読みたい人
- 後ろを振り返るのが少々怖くなるかもしれない1冊は求めていない人
タイトル | 貉 |
著者 | 小泉 八雲 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『赤い蝋燭』新美 南吉
「危い危い。そんなに近よってはいけない。爆発するから」といいました。
新美 南吉『赤い蝋燭』青空文庫,2012年,位置№12(Kindle版)
情景を想像すると、なんともシュールなお話。
少しばかりの笑みがこぼれます。
小さなお子さんへの読み聞かせなどに良いかもしれません。
オススメできる人
- 動物が登場する作品が好きな人
- 短いストーリーを欲している人
- くすっとしてしまう温かなお話を求めている人
オススメできない人
- 怖いお話が読みたい人
- 長編の作品を欲している人
- 読み応えのある1冊を求めている人
タイトル | 赤い蝋燭 |
著者 | 新美 南吉 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『愛読書の印象』芥川 龍之介
ところが、高等学校を卒業する前後から、どういふものか趣味や物の見方に大きな曲折が起つて、前に言つたワイルドとかゴーチェとかといふ作家のものがひどくいやになった。
芥川 龍之介『愛読書の印象』青空文庫,2012年,位置№14(Kindle版)
芥川 龍之介さんの読書遍歴が述べられた1冊です。
読書家の方なら頷いてくれることと思いますが、不意に好きだった作家さんの本を楽しめなくなること。
芥川さんも同様の経験をされたことがあるようで。
何か遠くにあった存在が急に人間味を増して近寄ってきてくれたような、そんな感慨を覚えた1冊でした。
オススメできる人
- 読書家の人
- 他人の読書遍歴に興味がある人
- さらっと読める短い文章を求めている人
オススメできない人
- 長編小説などを求めている人
- 胸躍る読書体験を欲している人
- 読み応えのある1冊を求めている人
タイトル | 愛読書の印象 |
著者 | 芥川 龍之介 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 5ページ |
ジャンル | 短編 |
『僕の孤独癖について』萩原 朔太郎
僕は好んで洞窟に棲んでいるのではない。むしろ孤独を強いられて居るのである。
萩原 朔太郎『僕の孤独癖について』青空文庫,2012年,p5(Kindle版)
年を経るとともに変化していく感性。
それは人間関係を豊かにしていくと同時に鋭敏な感覚の鈍化でもあり……。
成長というのは不思議なものだ、と感じる1冊でした
オススメできる人
- タイトルに惹かれる気持ちを覚える人
- 個人の内情が描かれた1冊が好きな人
- 萩原 朔太郎さんの文章に興味がある人
オススメできない人
- 物語作品が読みたい人
- 最近の本を求めている人
- ページの長い本を読みたい気分の人
タイトル | 僕の孤独癖について |
著者 | 萩原 朔太郎 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 9ページ |
ジャンル | 短編 |
『幽霊』江戸川 乱歩
「実は僕はこんな事を探し歩いている男なんですよ。この世の中の隅々から、何か秘密な出来事、奇怪な事件を見つけ出しては、それを解いて行くのが僕の道楽なんです」
江戸川 乱歩『幽霊』青空文庫,2016年,p.17(kindle版)
江戸川 乱歩という名前を初めて耳にしたのは恐らく『名探偵コナン』。
あの有名な偽名が誕生するシーンです。
けれど、実際に江戸川 乱歩さんの本めがけて読書に走ったのはこれが恐らく初。
手を伸ばしたい作家さんが増えることになり、嬉しい限りです。
オススメできる人
- ミステリが好きな人
- 読み進めることを止められない1冊を欲している人
- どこかで耳にした覚えのある有名な探偵が登場する作品に興味がある人
オススメできない人
- 短編作品は求めていない人
- 古い時代の作品は不得手な人
- 少しばかりの怖さを覚える作品は苦手な人
タイトル | 幽霊 |
著者 | 江戸川 乱歩 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 21ページ |
ジャンル | 短編 |
『鼻』芥川 龍之介
禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上から顋の下まで下っている。
芥川 龍之介『鼻』青空文庫,2012年,p.2(Kindle版)
改めてすごいタイトルと感じるこの1冊。
端的でありつつも、内容をこのひとつの漢字で表している。
また、内容においては、人間というものの弱さや醜悪さといった事柄を軽やかに表現している点も巧み。
芥川さんの中では、どのように物語が組み上がっていたのか。
頭の中を覗いてみたいと感じる短編でした。
オススメできる人
- 短編作品が好きな人
- 不可思議な内容を取り扱った作品が好きな人
- するするすると読み進められる本を探している人
オススメできない人
- 現代の物語を求めている人
- フィクションを読みたい気分の人
- 長編作品に手を伸ばしたい気持ちな人
タイトル | 鼻 |
著者 | 芥川 龍之介 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 12ページ |
ジャンル | 短編 |
『私は海をだきしめていたい』坂口 安吾
肉慾すらも孤独でありうることを見出した私は、もうこれからは、幸福を探す必要はなかった。私は甘んじて、不幸を探し求めればよかった。
坂口 安吾『私は海を抱きしめていたい』青空文庫,2015年,位置№151(kindle版)
どこか気怠げで、現実的で、セクシャルなお話。
ともに過ごす女性のことを、主人公はどうにかこうにか理由をつけて大切な存在ではないと思おうとしているように感じました。
けれど、結局のところは彼にとって彼女は必要な存在で。
失ってから気付く、という悲しい結末が二人の未来に訪れないといいなと思った次第です。
オススメできる人
- 生温い気怠さを感じたい人
- 酸いも甘いも嚙み分けた、大人な人
- タイトルに惹かれる気持ちを覚える人
オススメできない人
- 年齢が年若い人
- 読後感が爽やかな1冊を求める人
- 明確な答えが提示されない本は苦手な人
タイトル | 私は海を抱きしめていたい |
著者 | 坂口 安吾 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 14ページ |
ジャンル | 短編 |
『「死」の問題に対して』新渡戸 稲造
己れの義務を全うした人には、死は怖くも恐ろしくもないものじゃないかと思う。
新渡戸 稲造『「死」の問題に対して』青空文庫,2012年,位置№23(kindle版)
先日5000円札にて、改めてご尊顔を拝した新渡戸 稲造氏。
そんな偉人である同氏の文章をこれまで目にしたことが無かったことから、手を伸ばしたこの1冊。
月日は移れど、死に対する感覚というものはそう大きく変化するものではないのだな、と考えさせられた短編でした。
オススメできる人
- 短編作品を読みたい気分の人
- 他人の死についての捉え方に興味がある人
- 新渡戸 稲造さんという人間がどういった人物かということを文章から感じてみたい人
オススメできない人
- 物語を読みたい人
- 小難しい内容は不得手な人
- 死という事柄を考えることは避けたい人
タイトル | 「死」の問題に対して |
著者 | 新渡戸 稲造 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 6ページ |
ジャンル | 短編 |
『こゝろ』宮沢 賢治
曇りてとざし
風にゆる
それみづからぞ樹のこゝろ宮沢 賢治『こゝろ』青空文庫,2012年,p.1(Kindle版)
詩、というものは理解できるものもあれば、そうではないものがあります。
この詩は、今の僕にとっては残念ながら後者。
歳を重ねて、知識を積んで、再び巡り合ったとき。
何か感じ入るものを覚えることが出来れば嬉しいなとそんな風に思います。
オススメできる人
- 詩が好きな人
- 詩を解釈する時間が好きな人
- 詩についての知識を有している人
オススメできない人
- 長編の作品を読みたい気分の人
- そもそも詩の良さが分からない人
- 多様な捉え方が生まれそうな詩は苦手な人
タイトル | こゝろ |
著者 | 宮沢 賢治 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 2ページ |
ジャンル | 詩 |
『(あなたが生れたその日に)』中原 中也
あなたが生れたその日に
ぼくはまだ生れてゐなかつた中原 中也『(あなたが生れたその日に)』青空文庫,2017年,p.1(Kindle版)
とても短く、そして恐らく未完成の詩。
もし中原中也さんが、この詩を最後まで書き切っていたら、どんなものが生まれていたのか。
『汚れつちまつた悲しみに』のような後世に存在感を持って残る、そんな詩に成り得る可能性もあったのでしょうか。
オススメできる人
- 中原中也さんの詩を好む人
- 想いを巡らすという行為が好きな人
- インスピレーションを与えてくれそうな文章を求めている人
オススメできない人
- 長い文章を求めている人
- そもそも詩に興味がない人
- (恐らく)完成していない詩を読みたいとは思わない人
タイトル | (あなたが生れたその日に) |
著者 | 中原 中也 |
出版社 | 青空文庫 |
ページ数 | 2ページ |
ジャンル | 詩 |
最後に
ここまでお読みいただいた方は、いらっしゃるのか……?
それほどに長い長い文章量(13,000字超)となりました。
もし目を通していただけた方がいらっしゃいましたら、恐悦至極。
感謝の限りでございます。
では、今回はこのあたりで。
次回の記事もよろしければ、ぜひ。
……8月と同程度の冊数となりましたので、幾分先かと思いますが、あしからず。
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